ダイアローグ ー野良猫その3ー/……とある蛙
 
アンカーに係留されている大型船
岸壁の縁に並んでいるビット
その上に座り俺をじっと見ている猫は
俺を町中からここまで連れてきた。
俺は猫に話しかけた。
ポケットから取り出した小さな煮干し呉れてやって

どうしてここに連れて来たんだろう。
何もありゃしない。
俺はこの街に流れて来たが、今はルンペンだ。

さてどうしたものか

そいつは口を開いた。




ずっと以前からオレは、この港街の風景に溶け込み、適当に食い物を掻攫って生きてきた。人間と仲良くすることなどくだらないと思っていた。
 オレ猫が愛していたものは、気ままな昼寝と鰯の数匹、遊ぶための生きたネズミと眺
[次のページ]
戻る   Point(9)