洛陽は落陽の果てにあって/石川敬大
日本海にしずむ
落陽は
おおきくて美しい
と、ラジオでだれかが言った
*
かつて
五島灘にしずむ
落陽を
―― オレンジ色のおおきな
落陽だった
しずむ
しずんでゆく
落陽
を
むちゅうで
シャッターを押しつづけていたことがある
むちゅうとは
われをわすれること
われをわすれて対象に没入すること
なんというしあわせな時間だったのだろう
われを、わすれ、られて
*
身体を
いまよりさらに傾ける
ちょうど馬をぜんりょくで駆るときみたいに
クルマをはしらせる
日常がすこしだけかわる
クルマは
ぼくの意識体である
―― そうやって
ぼくは
生きてきたのだとおもう
*
傾いて
傾けて
ぜんりょくで
羽根が
ひらくしゅんかんが、ぼくにも
くるのだろうか
あのテントウムシみたいに
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