ふたつの足跡/餅月兎
 
朝焼けに
一羽のかもめ
雨上がりの黒い砂
足跡がひとつ
ざらつく視界

限りなく打ち寄せる
あったことと
なかったことの
波打ち際

灰色の雲間から
淡い光が染み込んでくる

昨日を吹き消す
風のはじっこ
あらゆることの隙間に
熱の予感

雨上がりの黒い砂
足跡がひとつ
それをたどって

波打ち際の
冷えた惑星
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