非凡と平凡/天野茂典
 
  酒豪李白は
  酒が入るっといくらドンから
  宮廷入りを促されても
  頑としてうけいれなかったという

  安酒場でそのままのみつづけたのだそうだ
  李白は酒量をしらない
  夜がしらむまでのみつづけるのだ
  そうしてみづから蛇となってとぐろを巻いたそうだ

  天才にはなにかおおきく欠けたものがある
  アインシュタインが原爆政策に加わったのも
  宮沢賢治が童貞だったのも
  ヴィンセント・ヴァン・ゴッホがピストル自殺をはかったのも

  一羽の鳥さえ空をとべるのに
  なんでふつうにできないのだろう
  雑草だってアスファルトの割れ目から芽を出すというのに
  かれらはより膨大な知能指数をつかみとっていたのだろうか




            2004・11・11
            平川病院デイケアにて

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