蛍光灯の唄/
光井 新
小鳥は唄を愛していなかった
故に、彼女が唄の力を信じる事は無かった
鳥籠からは祈り無き声が
今も響く
「翔びたかったのは私だ」
あ
――つめたくなって床に堕ちた
この部屋には空が無い――
小さな願いを握り潰して
壁に投げ付ける
こんな儀式をあと何回繰り返せば
心に届くのかと
誰かが口ずさんだ(叫びだ)
古ぼけた蛍光灯が明滅する
チカチカと
音を立てて白くなる
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