いつのまにか八月がそこ。/榊 慧
 
か思っててずっとむきだしで置いてたり運んだりだったんだよ。
「俺が見たことあるカルトンケースっていうやつはぜんぶ黒くって、で、これ黒くないじゃん?」
「だから僕もいいなって、ていうか真似しようかと、」
「教えれるなら教えたいんだけど、でもこれ十七のときに貰ったやつだからわかんないんだよ。」
「十七?」
「高校を高二の終わりに辞めて、そんで高認試験目前に控えた夏、七月の終わりくらいだったかな、」
「…使用期間長いね。」
「筆箱よりは短い」
だってこれ小五から使ってる。へー。
鉛筆はずっとステッドラーなんだ。へー。そのとき先生はみんなユニで指導してたんだけどなんか俺だけ全部ステッドラ
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