いつのまにか八月がそこ。/榊 慧
「茄子のおひたしってやっぱショウガ醤油にかぎるな。」
「うん」
「ショウガって偉大だな。」
「うん」
「俺、さっきバームクーヘン食べちゃってさあ、なんか収まり悪い」
「トー、」
「何?」
「カルトンケース、これと一緒の欲しいんだけど」
どこに売ってる?
と、僕は聞いた。トーは冷蔵庫から枝豆を出す。
「これ?」
うん。
「貰いものだから知らない。枝豆食おうや」
「おう」
トーのカルトンケースはよく見る黒色のやつではなかった。既製品のそれはカーキ色に茶色の取っ手でその少し珍しいところがいいなと思った。つまり欲しい。
塩茹でして冷やした枝豆はザルに入れられて、僕
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