日記/ガマパックン
 
つつましい
緑に幹を染められていく桜の木から
舞い飛ばされた便箋は
アスファルトを焦がす日光で
降り続いた雨とともに入道雲になった

反射光の
ちかり、ちかりと眩しい海岸線が
潮の香りを胸いっぱいに吸いこむように寄せては
かなたへ還ってゆくたび
そっと便箋を置いてゆく
子供が便箋を開き、中の手紙を読むと
紙飛行機にして空の向こう側へ放つ

空の外では
大きなヘビが惑星を食べている
ヘビは紙飛行機と惑星と
最後に自分のしっぽを食べ
がらんとした宇宙と宇宙の隙間に
手紙の文字がただよう

カーブした台風が
日本海側へ抜け
穏やかです
東日本へいかなくてよかったなと思いながら
変わらず過ごしております
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