前日のこと/はるな
 
とか足をたたんで座っていた、そんな食事会。

明石からは、いったんひとりで帰ってきた。
ひとりで新幹線に乗るのは好きだ。なんというか、自分を、「きちんと成長した大人」なのだと思うことができる。それが好きだ。
切符を無くすこともないし、乗り過ごすこともない。窓際でビールを飲んでもいいのだ。
ひとりできちんとやれている、とおもうことは、精神衛生上すごく大事だ。

そうしてそのときに電話がかかってきた。
二か月と十七日ぶりだ。しっかりわかる。電話番号を登録していなかったけれど、それでもすぐにそれが誰だかわかったし、すぐにそれが誰だかわかる自分が情けないと思った。途方に暮れるとはこのことだ
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