前日のこと/はるな
 
扉を開けると夏が直角に立っている午前。

明石を経ち、埼玉を経て岩手へ、の途中で気仙沼に寄り、盛岡を折り返し仙台を通りまた埼玉へ帰って来た。明日また明石へ帰る。新幹線で。夫と。行きよりも増えた荷物と。

夫の家族も、私の家族も(どんな時期があったにせよ、今は)みな善良な人々なので、所々でひどく後ろめたい気持ちに襲われた。そんな食事会。
青い畳に掛け軸、分厚い座布団を与えられた個室、甘い匂いのする上等の日本酒と、美しい数々の皿。しわのないワンピースと緊張と遠慮と安堵の行き交うなかで、ひょっとして、後ろめたさを感じていたのがわたしだけではなかったとしたら。
その浅ましい期待を胸に、なんとか
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