幸福について /服部 剛
炎天下を汗だくで歩いて
デパートに入ったら
ひんやりとして、幸せだった
しばらく涼んでTシャツの腕が寒くなり
外へ出たら
暖かくって、幸せだった
人の幸せなんぞというものは
人それぞれに勝手なもので
かくいう私も、人であり
「上辺の幸福」に麻痺した
現代人の私は公園のベンチに腰かけ
噴水の水の形を眺めつつ
人の心の意識下に流れる
(ひとすじの水)についてものを思い
頬杖ついて
ロダンになったふりをする
目の前を、無邪気な足音が駆け抜け
ふいに、顔を上げると
若い母が幼い息子を抱き上げる
「一枚の絵」が視えた
ひと時、私の肩にとまった蝿が
笑って何処かへ、飛んでいった
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