夏に降る雪/aria28thmoon
 
に、いつものジョークを飛ばす彼の姿はなかった。

「じゃあ、あれ、幻じゃ……」
「ないよ」
彼は、そう断言した。

「ただ、皆がオトナだったってだけだろ」
「大人……?」
「そ。俺と高階は、こどもなんだ、多分。ほら、良くあるじゃん、”子どものときにだけ見える”ってやつ」

――そう言って笑った彼の顔は、なるほど確かに少年のそれだった。
私が彼に返した笑顔もまた、少女のものであればいい。

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