夏に降る雪/aria28thmoon
 
そっちのけで窓の外ばかり見ていたけれど、もちろんもう雪なんか降っていなかった。

キーン、コーン、カーン、コーン。

今日の授業が終わる。
カバンに古典の教科書を押し込みながら、まだ私はぼんやりしていた。

「ねぇ、」

「え?」

突然、声をかけられて驚いた。

「俺も、雪、見たよ」
「……なにそれ」

からかわれているのだと、思った。
前の席の彼、嶋津くんはクラスに一人はいるお調子者タイプである。
きっとさっきのことを笑い話にしているのだろう。

しかし。

「なにそれも何も。降ってたじゃん、ほんとに……綺麗な雪がさ!」

真顔で話し続ける彼に、
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