聞こえない谷へゆきたい/榊 慧
 
された言葉を返しとして吐き掛ける。ロックナンバーを叩いてください。

「くだけてしまえ!」


すえたにおいに混じって、内側から胃液のすっぱいのが、
「誰かよりましな人でありたい」。



二:
じきに夕立が終わる、どこかぬるぬるした風、はあそこのハイツの、例の部屋、からかな。


……束縛される、誰が、壊したの。知らない、知らない、俺を、やめて、俺を、疑わないで、いやだ、やめて。……束縛して暗転して束縛して暗転して束縛して、髪がからまる、

柔らかい皮下脂肪はスクランブルエッグ状、右足の小指でつたわり震える誰、誰、誰、「?」

「どっちみち 百年たてば 誰もいない」。





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