うぬぼれ/aria28thmoon
 
はないはずだ。

ほとんど消えかけた色彩たちの余韻を味わおうと、私は恐らく凝固点ぎりぎりの温度に冷えた水溜まりに手を突っ込んで、そこから異様に鮮やかな紅葉を掬い上げた。

ああ、愛しい秋の生き残り。
こんな他人から見ればきっと馬鹿げた感傷に浸っている、私がほんとうに好きなのはそういう自分自身のほうなのかもしれない。
秋のおわり、にかこつけて、ただの下らない自己愛に溺れている。
私は馬鹿なのだ、ほんとうに。

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