月のうらにかいていく/フミタケ
 
夜/地球の裏側の太陽の動きを意識するように
気にかけたり抱えてたりする/日々のなだらかな稜線のつらなり
そのいくつかは自意識の成分でできていて
ムヨウの苦しみだったと気付くとき
素敵な夜だねという強制的嘘がもうやりきれなさで
こぼれ落ちそうな言いたいことはぜんぶ/月のうらにかいていく

昼/大地の裏側の天体の鳴動を意識するように
窓から窓へと鳥は反転し空が遠のき/初めて真心を思い出した刹那
シュークリームみたいに踏みつぶされていった
うっかりとしたわざとのでたらめな歴史
の上にくりかえし落書きを上書きしてくためのことごとく
言葉だけじゃ足りないすべてのものたちを/月のうらにかいていく
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