コルベの暖炉 /服部 剛
 
ごもった妻と新婚旅行で 
長崎まで辿り着き 
コルベ神父が静かに微笑む 
大きい写真の前に肩を並べて 
跪いた僕等は、瞳を潤ませ 
蝋燭の火をふたつ、灯した 

帰る前、最後に 
コルベ神父がいた頃から 
今も部屋に残る 
赤煉瓦の暖炉の前にふたり並んで 
両手をあわせ、瞳を閉じる 

暖炉の穴の暗闇に 
永遠(とわ)の炎は揺らめいて 
僕等のこころは 
不思議なほどに、暖かかった 



  ※この詩を、コルベ神父の魂に贈ります。 






 
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