黄金の牛(更新中)/みつべえ
、面白いレトリックだな。どれどれ」
神は右手を彼の頭上にかざしました。そのときジェルは軽いめまいをおぼえました。
「なるほど、まあ、そういうバリエーションもあっていいわい」
神はその不思議なちからで、ジェルの頭脳から直接これまでの情報をさぐり出したのでした。それを感じとったジェルは改めて腰を抜かしてしまいました。
「それでは、お前が腰につけている袋を渡すのだ」
その革袋の中身は、ジェルが稼いだ(女たちに貢がせた)財産を砂金にかえたものでした。彼は、やっぱり代価をとるのかそりゃそうだよな、と漠然と考えながら腰のものを神に手渡しました。
神は袋の口の紐をゆるめて、そこから息を吹き込みました。それからペッと唾をはきいれ、ゆっくりと二、三度ふりました。革袋のなかで、ちゃぷちゃぷと液体がゆれるような音がしました。
(まだまだまだ、つづく)
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