黄金の牛(更新中)/みつべえ
むかし、むかし、ずーっと、ずーっと大昔のことでした。
森にかこまれた小さな湖のほとりの岩山に、ひとりの絶対者が住んでおりました。
えっ、絶対者って?
まあまあ、そうあわてずに。静かに聴いておれば、そのうちわかることですから。ひとが話しているときに口をはさむのは、お行儀のわるい子ですよ。それに先のことはまだ考えてないので、実のところ、この段階では私にもわかりません。
あっ、いま思いつきました。
それは、宇宙創成時の大爆発で飛び散った「完全なるもの」のかけらのひとつ、もともとは復活と再生を司っていた機能の分身なのでした。男でも女でもないそれを、ここでは便宜的に「神」と呼ぶこと
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