かしおぺあ/高梁サトル
 

幸いによって用意された
名前は
あらかじめ課せられた
役割を帯びて

分厚い殻を割れば
どうどうと押し寄せてくる
風とも波とも知らない力に
離ればなれにされぬよう近付く
術さえ知らずに
夜空を見上げる

( …かしおぺあ )

吐息に混じる
慎ましい母音はやがて
その上にいくつも築かれる
子音の礎になるのだと
あなたと話した
星が今夜
見つからなくても

馥郁と
果てることない鉱石たちを
胸に抱いて
眠りに就こう
さようならを言える
その日の朝まで

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