僕たちはあまり難しい詩を書かなくともよいのではないか/……とある蛙
いうならば
生きるということは
世間に向かって眼を開き
自分の矮小さを自覚することだ
そうだ。だからみんなびっくりする
自分が本当に小さいことを
だから僕は酒を呑んで
へべれけになるまで酒を呑んで
意識が無くなるまで酒を呑んで
翌朝 深く後悔するのだ
それが精一杯の自分の矜持だ
それが精一杯の悲しい自分の矜持だ
僕は実名の土地を詩に書く
その場所の詩を書く
地名は土地の一部で土地は大地だ
多くの人が生きて死んで行く現場だ
それを無視して詩が書けようか
それを無視して何かが生まれようか
僕はその地名の中に生きている
唾を吐いてよいような土地などどこに
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