素描/山中 烏流
 


囁くような
耳元で
部屋を抜けて行く、風の
足踏みの音


甲州街道を過ぎた頃だろうか
君の走る跡を
閉じた瞼の隅で追う


雨の匂いが止まない日にばかり
鈍い痛みを思い出すから


君はいつも、画用紙の奥に消えた






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