安産祈願 /服部 剛
 
身ごもった妻が慌しく、出勤していったので 
休みで家に残った僕は 
巻いてる暇のなかった水天宮の腹帯を 
胎内と等身大の赤ちゃんの絵を包むように 
ぐるぐる巻いた 

紙と帯のすき間から時折 
ぷうん、と妻の薫りをかぎながら 
(すくすくと、養われよ・・・)と祈りつつ 
ぐるぐる巻いた 

「安産御守」の朱印を布地に押された腹帯を 
妻の机の上にそうっと置いて、両手を合わす。 

今頃、職場のデスクに腰を下ろした 
妻の大きいお腹が、ぴくっと動いたかもしれぬ。 






  
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