私たちを支配するもの/遠藤杏
や社会や政治や人間関係や、生活や、人間であるからこその負荷、自由であること、そのいろいろが根底から揺さぶられた日、それが私にとっての3.11である。皮肉なことにあの日から少し心が軽くなった。それは薄々気付いていた。私は携帯でなんでもできるこの国で、電気が足りなくてみんなで家の電気を消したりしながら暮らすなんて想像すらしたことがなかったし、コンビニに商品が何もないなんていう状況を考えもしなかった。そんなことが実際起こってしまって、私は根底から揺さぶられた気分だった。私たちが支配されていると思っていたことなんて、天災でこんなにもあっけなく崩れていってしまうものなんだ、ということが一番の私の実感である。
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