みどりになる日/阿ト理恵
 
ぎょうざを焼いていたら
「星の王子さま」を読みたくなり
けれど本がみつからず
木を抱くようにあなたを抱いて
森との正しい関係について
ためらい
分割払いのようなキスは
うわのそらで
お互いの調和は水飛ぶペンギンみたいだけど
すなわちディープではなく
斜めになりながら
みどりに向かって歩くのは
あなたがわたしの敵になった日で
沈殿するものを
おっちょこちょいの舌べらが走りまわり
うすく
つりつり
あたまにしみたなにかは
木の葉の裏の病気のように
ひっそりじっとりいつのまにか
巣くって
救ってほしいのは
わたしの方で
みどりになることで
おわらないリレーのように
地球をぐるぐるまわる
むせかえるみどりの匂いは
すなわち信号
わたしはあなたの敵ではないのです








































1997・12詩学



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