労働ノ涙 /
服部 剛
10日前に言いあった
苦手な上司と声をかけあい
皆で円滑に
お年寄の入浴介助が出来た日
各々は言葉のボールを
互いに投げあい
各々はそれぞれに必要な
お年寄に手を差しのべ
狭い風呂場で、動き回るスタッフと
手を引かれてゆっくり歩む
裸のお年寄との間に光る
労働の神秘が、瞬いた
入浴介助を終えた、昼休み前
汗水にびっしょり濡れたTシャツを
更衣室の外の日向に干せば
ハンガーの下、焼ける地面に
歓びの涙のような一滴が、光って落ちた
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