妖怪と街灯/竜門勇気
ころか君以外の人といるときにもあの姿が見える。音が聞こえる。影を目にする。
ひっつめ山査子は沢山の時間を生きる妖怪なんだ。
あなたの人生に八十八の鈎をつけてその鈎を辿って好きな年の好きな場所へ旅をする。ただし八十八の鈎は一年の内に一つだけ。
だいたいみんな米寿の前年にはひっつめ山査子の姿は見えなくなる。つまりひっつめ山査子は八十七歳で卒業って事になるね。
そしてやがてひっつめ山査子は最後の鈎を辿ってやってくる。
君は誰かのお葬式でチリチリと優しい音のする鈴をつけた猫を見たことがないかい?
もしもこれから機会があったらその猫を抱き上げてみるといいよ。突然君はこの猫を知っていることを思い出すだろうから。
http://po-m.com/forum/i_doc.php?did=220045 の妖怪たちの解説文
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