赤い靴/
只野亜峰
シャム猫の白い牙を抜き取り
柔らかな目蓋の裏へと突き刺す
暗闇に怯えないようにと
その瞳だけを抉り出して
夕暮れに滲んだ街の色は
滴る血の色に似て素敵だね
赤いトゥシューズを胸に抱いた
貴女は濡れた髪を掻き乱して
笑っていたんだ
何処へも行けずに
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