眠り姫/salco
 
ごわ覗いてみると、微かな緑色の靄が漂うその底に、空
ろなガラスの棺とテープだらけの蓋の片割れ、そして散乱した私の持ち
物の真ん中に、ぽっかり眼窩を開け歯を剥き出した漆黒の、襤褸くずと
紛うかたなきミイラが一体横たわっていた。



※助教授 … 実態に沿う准教授なる地位が導入される以前の、「お手伝い
さん」にも似た響きが軽視を誘う事もあった、氏生前のやや屈辱的とも取れ
る呼称。


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