夜の赤提灯 /
服部 剛
夜道にぽつり
焼鳥屋の赤提灯が、揺れて
暗がりの地面に映る
丸い灯りの場も、揺れて
濁った世間の暗闇で
この両肩にずっしり乗せられたものに
膝のくず折れそうな、夜
赤提灯を揺らす
夜風に凭れて僕は
(じっと眼球(めだま)を血走らせ)
傾いた姿のまま、佇んでいる
赤提灯の下
夜の地面に揺れている
ひかりの場
あそこで
「私」という花の影絵を咲かせよう
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