冷血の行方/高梁サトル
 
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鴉の眼に宿る一閃の煌きが人々にとっては畏怖でしかなくとも
夕暮れに戻った巣の中では献身的な愛を育む母鳥であるかもしれない
そう言ったおまえのイメージからははっきりと
精巧な素描の上に幾重にも塗り重ねられた油彩の匂いがした

わたしは、想う
おまえがおまえの人生を費やして
惜しくないほど価値のあるものとは何かを
その熱病の行方を
わたしは、思う
わたしがわたしの人生を費やして
惜しくないほどの価値が
この現実の何処に在るのかということを
この冷血の行方を

沈黙することで愛する誰かを傷付けようとも
懺悔などするものかときつく唇を噛んで
雨に濡れた世界を見
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