十一次元の詩人たちへ/たま
 
大きな欅の木のしたで
乾いた蚯蚓が八の字を描いて死んでいる
無から生まれた宇宙の話しを聴きながら


きみはもう死んでしまったから
こんな話しはおもしろくないかもしれないけど
きみに残された記憶の最後のひとコマが
十のマイナス三十四乗秒だったとしても
それがきみの生きたすべてだったと言えるかもしれない 
もちろん
きみが苦労して生き延びたことは知っているよ

宇宙が無から生まれたように
生物として生きたきみは死んで無に還ることになる
きみの霊がまだここにあるとしたら
それは十のマイナス三十四乗秒という
最小単位の物質にすぎないから
見ることも触れることもできない
[次のページ]
戻る   Point(17)