ウォーホルの雪だるま/「Y」
、なかなか面白いことをした。というのが、僕たちの結論だった。
あの旅行から半年後に、僕は真里と別れた。彼女は勤務先の同僚と結婚し、それから二年後、その結婚相手と冬山で遭難し、二十六歳で命を落とした。登山は結婚相手の趣味だった。
僕は三十歳になる前に結婚し、平凡な勤め人を続けていたが、昨年の春先から肺に癌が見つかり、その日から闘病を続けている。まだ生きる気でいるし、主治医も大丈夫だと言ってくれるけれど、転移性の癌だから、どうなるか分からない。
正直なところ、妻や娘の僕に対する態度が、あまりにも優しすぎるので、もしかしたら駄目なのかもしれないと思っている。
夜、病室のベッドの上で横たわっていると、なぜか、ウォーホルの雪だるまを思い出す。警備員に冷房を切られて、ゆっくりと溶けていった、あの雪だるまのことを。
あの雪だるまは、まだ、あの場所にいるのだろうか?
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