命/mizunomadoka
 

ただ一度だけ生まれて
背伸びして開けるこの世界の窓に
あなたが見えた

わたしがまだわたしだけであった頃
それは始まりで、終着で、永遠だった

知ったのはずっと後になってからだけど
あなたはわたしのことを知らず
気付きもせず、ただどこかではしゃいでた

光がなければこの宇宙は闇
でもほら、暗いところで目を閉じても
わたしの中には何かがある

人が死んでも、身体がなくても
触れられるもの
息で書いた伝言


あなたを愛してた
通りすぎてからもずっと
もう会えなくても

永遠に思えた時間が無に帰るときも
私たちはゼロになることなく

愛とぬくもりと孤独の眠りの中で
もう一度だけ
夢をみるのだと思う

だからわたしはあなたに
次に会ったときのために
がんばる

背伸びしたまま
世界をそのままに





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