ginger/たちばなまこと
沸点で淹れた紅茶に
蜂蜜と
生姜の絞り汁
握り拳よ
芯部に響け
きみたちが求める女に
雄々しさはあるのかい
絞め殺したくなるような可憐さ
汚したくなるような透明感
ほんとうは
きみたちにこそ在る女
彼女の友だちが誇らしげに言う
雄々しいから女が好きよ
雄々しいあなたが好きよ
と言う
ように
遠くで
生き物を知った男の子が
大きくなって
好きな女の話をする
ように
生きることを知ることは
泥臭いが
鍋の根菜がたてる匂いにも似た
たくましさがある
還るところは 母と呼ばれるが
父が不在なわけではない
ように
幾とせ経っても
きみたちの不在にこころを斬られ
きみたちの前で
肌を磨き
からだをつくり
飾り
声を塗り
外で
内で
もがいてみせる
その刻印に生姜を擦り込む
強さよ
芯部を灯せ
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