こころの家 /服部 剛
こころの中に
一つの家を建てよう
どんなに激しい嵐にも
どんなに揺れる地震にも
決して消えることの無い、一つの家を
地面に膝を落とす、日も
涙の絞り落ちる、夜も
こころの中にある
一つの家に入れば何者にも邪魔されず
私は私を、回復する
私は私を、充足する
瞳を閉じて、見えてくる
こころの中の一つの家に
古い木目の机があり
一冊の本が、置かれている
世界の誰にも代われない
私という人の真(まこと)の名前を記された頁が
窓から吹く風の掌に、開かれる
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