渦/ポー
終電間際の改札口は 大勢の人々で溢れていた
貴方を待つ私は 渦の中で戸惑いながらも 眼をこらしていた
そこに在ったものは 内に秘めた願いと 様々な色や香り
「お疲れ様」 貴方を見つけた瞬間を 忘れてはいない
声と同時に差し出した手を照れ臭そうに 握りかえした貴方
人混みの渦の中 互いをちゃんと見分けられた二人
憂いをおびた瞳
緊張を隠す仕草
昨日のことのように 貴方の姿を思い浮かべられるのは 私だけ
「あの時 お前に救われた」
貴方が時折 漏らす言葉
荒れ狂う渦の中を ひとり生きてきた貴方の重い一言
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