作るに関する覚書と考察/はるな
を作ってみたい、と思っている。
写真でも、絵でも、文章でも、彫刻でも、何でもいい。
匂いのない、清潔な、水のようなものを作ってみたい。
悲しみでも喜びでもなく、感謝でも怒りでもなく、苛立ちでも愉しさでもないもののように。
その場所はまだ遥かに遠く、いつまでたってもたどり着けないほどに思える。
人生で何度かそういう作品に触れたことがある。ひとつは文章で、ひとつは絵画だった。いちばん最近にみたものは写真だった。それは静かで情熱的で、苦悩に満ち溢れているかと思えば流れるように穏やかで、さいごにはあらゆるものを孕みながらなお静謐な作品たちだった。膨大な時間が費やされ、それをまた同じだけかけて削ぎ落としたような作品だ。いつか、自分の手で、そういうものたちに出会いたい。
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