嘘/1486 106
人影のない交差点 繋いだ手を静かに離した
黄昏に染まる街の中で 僕は一つ嘘を吐いた
寄り添い歩く二人の影はいつの間に長く伸びて
気付かないふりをしてただけ でも本当は分かっていた
大切な人のために何をしてあげられていたのかな?
素直になれず放った言葉でナイフのように傷付けた
馴れ合うことに疲れて適当な扱いで遠ざけた
思いやることが出来たなら変わっていたかな?
あどけない微笑みで いつも通りの優しい声で
表情には出さずに君もまた僕に一つ嘘を吐いた
人影のない交差点 影はいつの間に闇に溶けて
間違った恋をしたね それでも僕は君を愛してた
それも嘘かな?
信号が青に変わり振り返らず君は去っていく
呼び止めることは出来ない それでも僕は君を愛してた(嘘じゃない)
見送った君の背中 立ち尽くす僕は闇に溶けて
許されるはずもないね それでも君と出会えてよかった
忘れたくはないけれどさようなら
君と出会えてよかった
それも嘘かな?
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