ゆるやかにおしまい/りこ
背中の波が剥がれて泣いて
海が誰かを呼んでいる
あなたのことを考えてみる
体を循環する器官のひとつひとつを
ていねいに洗う
みずの流れに臆病になると
腰にひびが入るんです
ゆるやかに
砂浜のおやまがくずれる
背中の波が剥がれて泣いて
海が誰かをさらってゆく
残された脚だけが
ゆらゆらしてる
あなたのことを考えてみる
両脚で立って
わたしこうして泣いています
ひとつぶ
ふたつぶ
このようにして壊れてゆきます
わたしが捨てたものなんです
思い出すには遅すぎた
海をみつめる
片手には雨
ゆるやかに分泌
もう途中
ゆるやかにおしまい
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