川/理来
火を食べる川
その川のようになりたい
なりたければ仰向ける空へ返す仕草を
かみしめたまま忘れないこと
石の尖りを解かれた頃には
流れの起伏をたどっていることだろう
いつかは溢れ、落ち着くところに
早くも夏は生まれている
四季は変わる
立ち止まらずに、変わり続ける
それと同じだけの眼差しの移り変わりが
そよいだ岸に寄せてくる
晴れ間に拾われて、そしてやはり
微熱は残る
ここで見ていたいよ
行き着く先を
幻惑されていても
反射する水面の明度はやさしい
どれだけ強く根を張ろうとも
ひとつの種は少しだけかなしい
押し寄せる連なりに映えるのは
先に瞼を開いて
待っているひと
ひと、ひと、ひとの行方
送り返してくる仕草は同じ
見えない手を高々とかざして
敬礼を伝えてくれている
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