五十日目の日記/縞田みやぎ
全体を呼び集め,今後の方策を通知する。「幹部は全員このまま宿泊。月曜日は施設は休業,ただし明日は勤務日とする。全員出勤し,引き続き安否・安全確認作業を行う。各家庭のこともあるので,本時をもって勤務解除,安全に注意して帰るように。」
ママさんたちが一番に帰る。この日は市内は卒業式がらみで午前授業が多く,家に子供がいる家庭が多い。預かっていた荷物を返したり,外套を返してもらったりし,「気を付けて。」と声を掛け合いながら別れる。「あなたの家の近くに自分の担当する子が住んでいる。余裕があったら探してほしい。きっと避難している。」と頼まれる。
たぶんこれは津波が来ている。だとしたら,家族の中で一番危
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