五十日目の日記/縞田みやぎ
 
が収まらない。揺れる度に,建物から外に出る,また集まる,を繰り返す。
 「安否確認取れるかー。」と施設長が言う。そういえば僕は子供らの電話番号は,携帯の電話帳にパスワードをかけておいたのだった。一人ずつかけていくがやはりつながらない。いちいちパスワードを入力するのが面倒くさいなと思いながら,次々かける。合間に家族にもかける。つながらない。一度だけツイッターの画面が出た。「とりあえず生きてる。」とだけ書き込む。あとはもうツイッターの画面は出なかった。
 「これはだめだ。」とまた誰かが呟く。
 「鮎川浜で3.3mの津波を観測。」とラジオが言う。悲鳴と同時に,若干の安堵の表情。「それで済んだなら。
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