五十日目の日記/縞田みやぎ
 
震がありました。それは分かっている。
 「これはだめだ。」という呟き。
 携帯を取り出すが,相方,家族,ネット,どこにもつながらない。掛け続ける。
 上司がCDラジカセを持ってくるのが見えた。乾電池を詰め込むのを手伝う。「だーれ,最近のはなんだ,ずいぶん電池食うごだー。」「CDついてますからね,しょうがないんですよ。」そんなことをあえて笑って話しながらどんどん詰める。ラジオが付く。「マグニチュード8」「大津波警報」という単語が耳に飛び込んでくる。立ち尽くしている集団に向けて「マグニチュード8です。大津波警報出てます。」と叫んだ。わらわらと人々がラジオを聞きに集まってくる。
 しかし余震が収
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