橋は、スイッチである/石川敬大
 



 埠頭から埠頭へとコンクリートと鋼鉄の道を手わたす
 橋の下で
 アキ缶を叩きつぶしながら
 男たちがラアラア話をしていた
 母音/子音
 混ぜあわせたコトバが
 まったく意味がわからない
 コトバをぼくは、聴くともなしに聴いていた


  隔たった耳の羽音を凍りつかせて


 すこし荒々しい口調の
 でも、尖っているわけではない感情が
 夏のアイスみたく蕩けている、わけないが…
 巨大なクレーンが三機
 船尾から蜘蛛の糸ひくタンカーが寝そべって接岸している
 港湾施設が
 ここからはよくみえた
 どす黒い海面にたくさんの漂流物が浮遊しているのも
[次のページ]
戻る   Point(10)