終末論の週末にくるものは/石川敬大
 



 胴体に日の丸をつけた飛行機が
 滑走路から飛び立ってゆくのを見送っていた
 まるでデジャヴュでもあるかのように

 ものを書き
 考えることをしてきた
 だのに、なにも残っていない
 なにも、身体に刻印するができなかった


  わずかに書き遺したものも
  潮風にとばされる砂紋みたいで


 書棚から一冊取り出し
 本をひらけば
 印刷された文字たちが消しゴムの滓みたいに
 ページのあいだからこぼれ落ち
 白紙になってしまうだろう
 それでいいのだ
 と、おもうが
 愕然とする気持ちもある、それは
 感覚の落差であり
 感情の躓きである
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