俺たちの境界/yukimura
 
獲物がいなくなった 空の下で
収縮に喘ぐ動物が 叫んでいる
「方向」はどこにあるのか

生彩に富んだ街を歩くと
猫たちは既に女性のものでなく
棺は死人のみを納めてもいない
両の手で社会を掬い 揉み合わせる
その隙間から俺たちの境界が 零れ落ちていく

俺はそれらと同じように言葉をかき混ぜては
時折嬉しそうに微笑むくせに 
胸の奥底がなぜか苦しいのである

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