髪一重 / ****'04/小野 一縷
 
韻を踏み外したまま
蓄積する行末から
こぼれ落ちる
行間という溝に
言葉の葉脈を
透かし見る

空と触れ合う海
陸を撫でる風
揺れる草木

点滅する青
震える黒線
遮光される視線

岩を削る水滴
律動
さざめき

黒の中を流れる赤
深緑の瞳に沈む青い石
夜の奥に埋っている黄金の星
闇を押し寄せる輝きの波紋

日の出から朝への移行
雑踏の産声

子供たち
溢れる笑顔
ざわめきに悪寒
笑い声

頭蓋
軋み
痛み

失意
劣情


酸性濃霧

轢かれた仔猫
一生命の結末
絶滅する野良犬
増える人類
減らない人類
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