狩唄のあとに / ****'04/小野 一縷
十年以上 この狩りを続けてきた 狙い場は身体自身が一番知っている
・・・さて もう一段 行こうか
「我等は 先を急ぐので 今宵の唄はここまでとする」
「お前等は後からゆっくりのんびり来ればいい」
「ただし獲物の残りには期待せずにな」
「急ぐならその身を削ってからにしろ」
「充分な脂肪を持っているのに お前等は何時でも厚着だ」
「利害を背負えと言っているのだ」
「しかし太って走れないような猟人なんているか」
「いる そいつ等は銃という楽な道具を使う」
「我等よりずっと狡猾だな」
「世間ってのも狩場と同じだ」
「海か森かの違いだな」
「ああ だがその差は限りなく大きい」
「ただ 陸と空で繋がってはいるがな」
一同 「納得」
戻る 編 削 Point(5)