狩唄のあとに / ****'04/小野 一縷
 
明りの弾ける音が闇を貫けて沈黙へと沁み込む
焚火を囲み暖をとる
密猟者の秘め事 儀式の執行
祈りの呟きの後 狩りの前 
青い薫りの葉煙草を皆で回し吸う
苦い煙を吐いて 少しの吐気が残る
秋 夜 九月の終り
二三度吹き上がる細い紫煙が数本捻れて
月光に藍色に照らされた雲に舞い吸われる

唄が始まる 自然という大きな移ろい 深い流れ 
その行方の中の 狩りという行いに捧げられる唄


・・・心地好い 
吐気が酔いへと移ろってゆく
全ての内臓と全ての体液を微振動させる肉体的な程よい眩暈
・・・甘い
全身が甘いということを全身が感じている
・・・ああ 
過剰とも思え
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